鼠が紡ぐ物語。

それはちっぽけな一匹の鼠が描く、小さな小さなお話。

命の光

消えてほしくない。消したくない。

 

 周りには何も無い。

あるのはおびただしい数の死体。

敵味方関係ない。そこにあるのは死体。

無いのは人の生気。

あるのは元々人だったもの。

 

 

ほとんど全滅だ。

みんなやられてしまった。

昨日まで一緒に笑っていた仲間が

数分前まで共に戦っていた戦友が

 

今はもう______

 

 

 

「…コバリン。」

…パートナーの声。

「自分を責めちゃだめだよ。」

でもこれはオレのミスだ

オレが招いた結果なんだ…

 

 

隊長のオレがもっとしっかりしていれば

もっとちゃんとした指示を出していれば…

「…こんなことにはならなかったのによ。」

「コバリン…」

あいつはオレの肩に手を置く。

「…これは戦争なんだよコバリン。確かに友の死は悲しいことだけど、いつまでも自分を責めてるようじゃダメなんだよ。死んだ人たちのためにも、オレたちは前に進む必要があるんだよ。」

…。

 

 

そうだ。

 

振り返っているヒマなんてないんだ。

これは戦争。

隊長としてオレがやるべきことは。

 

友の死を背負っていくことなんだ。

そして、もうこれ失わないことなんだ。

 

 

 

儚く消えていった命の光

もうこれ以上、失うわけにはいかない。

失わせない。

それがオレの役目なのだから。