犬も歩けば。
思いがけない出会いをした小さな騎士と迷い犬のお話。
ある冬の寒い日の出来事。
名前のないとある街に一人の少女が迷い込んできました。
少女は、とてもお腹が空いていたので、
食べ物をもらおうと家を一軒ずつ頼んで周りました。
しかし、この街の人たちは少女の姿を見ると、『気味が悪い』と少女を突き放しました。
少女はまるで犬のような耳、尾が生えていたのです。
変わった容姿をしていたので、街中の人は食べ物を恵むどころか、少女を好奇の目で見るようになりました。
「_____」
少女はとてもお腹が空いていました。
どの家を訪ねても、家にいれてすらもらえません。
途方にくれた少女は、ぽろぽろと涙を零しながらたった一人で道を歩いていました。
すでに日が沈み、夜になっていました。
少女は空腹と疲労が限界に近づいていました。
「_____」
とうとう少女は、その場にバタリ、と倒れこんでしまいました。
起き上がろうとしても、もう脚がいうことをききません。
「_______………」
そのまま意識は遠のいていきました。
「____の…」
遠くから声が聞こえてきます。
「……?」
少女は気が付いて目を開けました。
そこには見知らぬ少年が立っていました。
「あの…大丈夫?」
少年は少女の傍に来て、心配そうに見つめています。
「_____」
少女は答えることができません。ただ口を微かに動かしているだけでした。
少女は話すことができなかったのです。
両親がいた記憶はありません。言葉を教えられた記憶も、ないのです。
その時、
少女のお腹が、小さく鳴りました。
「…!お腹、空いてるの?」
少年は尋ねます。
少女は小さく頷きました。
「そっか…ちょっと、待っててね!」
少年はそう言うと、持っていたバックから、水とパンを取り出しました。
「これ、食べて?」
「…」
少女は驚きました。
驚いて、うつむいたままです。
「気にしないでいいから…ね?」
少年は優しく微笑みました。
「…!!」
少女は少年を見つめました。
すると、少年はパンを差し出してくれました。
少女はパンをほおばりました。
久しぶりに食べ物を口にします。
おいしい。
少年の優しさからか、空腹からか、パンをとてもおいしいと感じました。
少女の眼からは涙が溢れて止まりませんでした。
昼に流した涙とは違います。
優しい涙でした。
「…おいしい?」
少年にそう言われ、少女は何度も頷きました。
「よかった…あ、そうだ。僕、ネロって言うんだ。君は…?」
「___ぁ___う」
少女は口を動かしますが、言葉になりません。
「…そっか。」
少年はすべて分かったかのように言いました。
「名前が、無いんだね?」
そう言われ、少女は静かに頷きました。
「…んー…そうだな…」
少年は何かを考えています。
少女が不思議そうに首を傾げていると、
「僕が名前をつけていいかな?」
彼はそう言いました。
少女はびっくりして、少年を見ます。
少年は少女の名前を考えていました。
元々身寄りのなかった少女は、少年と行動を共にすることになりました。
この二人が後々、様々な冒険を繰り広げるのは、また別のお話。
「それじゃあ、行こうか。テリコ。」
少女は大きく頷きました。
以上インディゴとテリコの出会いのお話でした←
テリコはインディゴに言葉を教わります((
そんでそんで実はインディゴの本名はネロっていうんですハイ((
昔は普通の男の子だったのにどうしてああなった…